「公認心理師は心に悩みを抱えた相談者の聞き役になるのが仕事」と考えている方もいるでしょう。
もちろん、話を聞くことも大切な役割のひとつですが、公認心理師はさまざまな心理療法やカウンセリングを通して心の問題を抱える人々を支援する専門職であり、日本初の心理分野での国家資格です。
公認心理師の資格を取得することにより、心の健康を支えるプロフェッショナルとして医療、福祉、教育、産業、司法など幅広い分野で活躍できます。
本記事では、公認心理師になるために知っておきたい仕事内容と4つの適性、その学び方について解説します。

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公認心理師とは専門的な知識と技術で人々の心の健康をサポートするための国家資格

心理の資格のなかで聞きなじみがあるのは臨床心理士の資格ではないでしょうか。他にも心理の資格には認定心理士、産業カウンセラーなどがありますが、いずれの資格も民間資格です。
対して公認心理師は、平成29年に「公認心理師法」という法律に基づき施行された国家資格です。
公認心理師は国家資格であることにより社会的な信頼度も高く、地域社会や学校などの身近な場所から産業や司法まで、幅広いフィールドでメンタルヘルスの向上に貢献します。
公認心理師以外の資格について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
公認心理師に求められる4つの役割

公認心理師の役割は大きく分けて以下の4つです。
それぞれ解説します。
①:心理状態の観察、その結果の分析をする
公認心理師の仕事の1つに、心理に関する支援を必要としている人の心理状態の観察と分析があります。
例えば学校の授業中、席から立ち上がり落ち着きなく歩き回ってしまうお子さんのケースをみていきましょう。
公認心理師はまずお子さん本人との面談を行い、家庭や学校でどのように過ごしているか、家族との関係や友人関係に問題はないかについて詳しく話を聞いていきます。
話を聞くなかで心理テストを使い、自覚していない深い心理状態を把握することも手法の1つです。
面談の内容をふまえて必要ならば学校や家庭に出向き、お子さんが過ごしている様子を観察する場合もあります。
多方面からの評価を専門的に分析し、お子さんが抱えているストレスの原因を特定していきます。
②:相談及び助言、指導を通して問題解決への援助をする
公認心理師は、心理に関する支援を必要としている人の話を聞きながら問題を整理し、対象者が必要としている支援を明確にします。
例えば、対象者自身の対人関係に問題がありそうな場合はコミュニケーション方法の指導をし、対象者が過度なストレスを感じている場合はその人に合ったストレス解消方法を提案します。
公認心理師としての支援は、相談後の対象者がこの先自分自身で問題を解決し、安定した生活を送るための力が身につくよう、導いていくことが目標です。
対象者が表に出さない不安や悩みをカウンセリングで引き出し、対象者に必要な支援を明確にするためには、相談者の話をじっくりと傾聴、共感し、安心感を得られるような関係づくりが大切になります。
面談や相談を1度きりのものにするのではなく、その後も継続して相談者をフォローアップしていくことも公認心理師の役割です。
③:家族の相談にのり、助言、指導、援助をする
心理に関する支援を必要としている人からの相談だけでなく、その家族のサポートをすることも公認心理師の役割の1つです。
例えば、対象者のストレスの発散対象が家族に対して向いているケースでは、早急に対象者の家族と面談の機会を持ち、家族が抱える実情や問題点を聞き取ります。
このようなケースは、命の危険につながる場合もあるため、必要に応じて支援機関に繋げ、家族の安全を確保する場合もあるでしょう。
そうではない場合は家族が抱える不安に寄り添いながら、家庭内での接し方やコミュニケーションの取り方について提案し、家族全体の心理的な負担を軽減することを目指します。
④:知識の普及を図るための教育及び情報の提供をする
公認心理師には、心理に関する知識や情報を社会に普及し、人々が心の健康を保つための援助をする役割があります。
例えば、中学校や高校へ出向き、多感な年頃の子どもたちに向けて、自身のストレス管理や感情のコントロールについての講演をしたり、コミュニティセンターで地域の方を対象にリラクゼーション技法を教えるセミナーを開催したりします。
広く心の健康について知ってもらうためのパンフレットの作成や、SNSでの情報発信をすることで、社会全体の心の健康をサポートするのも大きな役割です。
公認心理師に求められる4つの適性

公認心理師に求められる適性は主に以下の4つです。
これらの適性は、経験や学びを通して時間をかけて身につけることができます。今の自分に適性がないと焦らず、自分のペースで習得していきましょう。
それでは詳しく解説します。
①:コミュニケーション能力がある
公認心理師にとって、コミュニケーション能力は非常に重要な適性の1つです。
ほとんどのケースは対象者の話を丁寧に聞くところから始まります。
その悩みや問題について、共感や理解を示しながら話を聞くことで、対象者が「この人となら話がしたい」と思えるような信頼関係を構築しましょう。
相談者の悩みや不安を整理して本人と一緒に振り返ることで、相談者が感じている問題点や改善点を導き出すことができるのです。
②:観察力・洞察力がある
公認心理師の支援対象者の中には、自分の気持ちを上手く言葉にできない方もいます。相手の表情や仕草といった非言語的な表現から、相手の気持ちを汲み取るスキルを身につけていくことで、適切な支援の必要性に早い段階で気づくことができ、対象者の本音を聞くきっかけにもなります。
心理学について学び始めてすぐは、対象者の表情や仕草に隠れている感情を読み取ることに難しさを感じるでしょう。
普段から物事の細かい部分に目を向けることにより、表面的な情報だけでなく、根本的な原因や動機を見つけることができるようになります。
また、相談者本人も気づかないような行動や思考のパターンに気づき、問題解決の糸口を見出すためにも観察力や洞察力が必要です。
③:判断力・決断力がある
カウンセリング中、対象者が感情的になり声を荒げたり泣き出したりする場合もあるでしょう。
公認心理師はどんなときも感情に流されることなく、冷静な判断力を持って対応する必要があります。
また、対象者やその家族の安全が脅かされているような緊急性が高い状況では、迅速に適切な対応をしなければなりません。
確かな知識と技術をもとに判断や決断をしながら、最善の支援をする力が必要です。
④:学び続ける向上心がある
公認心理師は人を相手にする仕事です。
時代の流れにより人々の悩みや問題も複雑になっています。
しかし、それに対応する心理の分野も新しい技術や知識が更新され、誰もが適切な支援を受けやすくなりました。
さまざまな相談に対して柔軟な支援策を提案するため、最新の知識や技術を学び続ける向上心が公認心理師には必要です。
公認心理師になるには?3つの方法を解説

公認心理師になるには、厚生労働省が示す7つの方法があります。それぞれの違いを理解した上で自分に合ったルートで心理学を学び、公認心理師試験の受験資格を取得します。
ただし、そのうちの4つのルートは、公認心理師法が施行される前から臨床心理士として働いている方や、臨床心理士を目指して大学や大学院に在学中の方に向けた特例措置のルートです。
このトピックでは、これから公認心理師を目指して1から勉強する方が対象となる3つの学び方について詳しく説明します。
それぞれ解説します。
①:4年制大学で必要な25科目を履修後、大学院で10科目履修
区分Aのルートを選んだ方は、まず公認心理師対応カリキュラムが組まれている4年制大学に入学しましょう。
公認心理師になるために決められた25科目を在学中に履修します。
その中に含まれる80時間の実習では、病院や学校でのカウンセリングや心理に関する教育活動を行います。
大学卒業後は、心理について学べる大学院に進学し、決められた10科目の履修と450時間の高度な実習を経て、公認心理師の受験資格を取得します。
公認心理師試験に関しては、令和6年3月に区分A、区分Bのルートを選んだ方の初めての試験が実施されました。今後の公認心理師試験は年に1度3月に実施される予定です。
そして公認心理師試験を受け合格した方は、一般財団法人公認心理師試験研修センターが管理する公認心理師登録簿に、氏名、生年月日その他文部科学省令・厚生労働省令で定める事項の登録をする必要があります。
登録が受理されたことにより、各機関で公認心理師として勤務することが可能です。
②:4年制大学で必要な25科目を履修後、認定施設で2年以上の実務経験
区分Bを選択した方は、まず公認心理師対応カリキュラムが組まれている4年制大学に入学し、決められた25科目を履修します。
卒業後に2年以上、厚生労働省の認定施設で実務経験を経ることにより、公認心理師試験の受験資格を取得します。
認定施設は以下になります。
- 少年鑑別所および刑事施設
- 裁判所職員総合研修所および家庭裁判所
- メンタルクリニックなどの医療機関
- 児童心理治療施設、放課後等デイサービスなどの福祉施設
実務経験に加えて、現在働いている施設とは異なる分野の施設で60時間の見学や研修を行う必要があります。
ルートBを選び公認心理師試験に合格した方も、ルートAの資格取得者同様に一般財団法人公認心理師試験研修センターから登録証の交付後、公認心理師として勤務することができます。
③:国内外の大学で心理学を履修後、様々な条件を満たす
区分Cのルートは、多様な教育背景を持つ人が公認心理師としての資格を取得するために設置されています。
受験対象者は下記の人です。
- 日本の大学などで必要な25科目を履修して卒業後、外国の大学院で心理に関する科目を修了
- 外国の大学で心理に関する科目を履修して卒業後、日本の大学院で必要な10科目を修了
- 外国の大学で心理に関する科目を履修して卒業後、日本のプログラム施設で実務経験を積み修了
- 外国の大学で心理に関する科目を履修して卒業後、外国の大学院で心理に関する科目を履修し修了
- 外国の大学院で上記以外の課程を修了後、外国の心理職資格を保有している
- 大学での科目を過去に23科目以上履修しており、大学院での必要科目は履修済み+実務経験がある
また、認定基準として次の4つがあげられています。
- 高等学校卒業以上(修業年限12年以上)、大学は4年以上、大学院は2年以上の教育年限が必要
- 専門科目の履修時間: 大学で1,790時間以上、大学院で990時間以上の心理学関連科目の履修が必要
- 教育環境は日本の公認心理師カリキュラムにおける教員数と同等以上の教育環境が求められる
- 日本語能力試験N1の認定を受けていることが必要(日本の中学校及び高等学校を卒業した者以外)
参照:厚生労働省 公認心理師法第7条第3号(区分C)に基づく受験資格認定(外国大学等のご出身の方、過去に大学で履修科目が一部不足していた方)
これらすべての条件を揃え、厚生労働省の社会・援護局 障害保健福祉部 精神・障害保健課 公認心理師制度推進室に必要な書類を提出し、審査を受けます。
書類審査に通ると、認定書が交付され公認心理師試験の受験資格を取得できます。
ルートCを選び公認心理師試験に合格した方も、ルートA、Bの資格取得者同様に一般財団法人公認心理師試験研修センターから登録証の交付後、公認心理師として勤務することができます。
公認心理師になるには、公認心理師対応カリキュラムがある大学で知識とスキルを磨くのがおすすめ
本記事では、公認心理師の仕事内容や適性、学び方について解説しました。
精神疾患患者の増加や国民の高齢化に伴い、うつ症状や認知症に対する心理的アプローチの需要が年々高まっているのが現状です。
また、病院や介護施設、学校や司法の犯罪分野などさまざまな機関で心理支援が求められることにより、公認心理師の活躍の場は広がり、各機関での雇用人数は増加傾向にあります。
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