「児童福祉司は、子育てについての相談員」と考えている方もいるでしょう。
近年、少子化が問題視される一方で児童相談所への相談件数は毎年増加しており、その内容は虐待や家庭内不和、子どもの発達に関する問題と多岐にわたります。
児童相談所に所属する児童福祉司の役割は、そのような相談に対して関係機関と協力し、子どもが健やかに成長できるようサポートすることです。
本記事では、児童福祉司になるために知っておきたい仕事内容と4つの適性、資格取得の方法や条件について解説していきます。

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児童福祉司とは悩みを抱える子どもや保護者を支援する仕事

児童福祉司が受ける相談内容には、親の離婚による経済的困難、虐待、子どもの発達に関する相談など、家族と子どもの生活において深刻な問題が含まれます。
これらの問題は、子どもたちの健全な成長と福祉に深く関わるため見逃すことはできません。
児童福祉司は、問題を抱える家族の相談に応じ、問題解決のために調査、面談、場合によっては一時保護といった措置をとり、子どもたちの権利と福祉を守ります。
児童福祉司に求められる4つの役割

児童福祉司の役割は大きく分けて以下の4つです。
それぞれ解説します。
①:子ども、保護者等から子どもの福祉に関する相談に応じる
児童相談所へは、電話、メール、直接訪問による相談が可能です。
対象者から相談があった際は、児童福祉司がその内容をヒアリングし緊急性の有無を判断します。
続いて相談内容に応じて必要な対応を見極め、カウンセリングや、家庭訪問による生活環境の調査といった的確な計画を立てます。
児童福祉司は対象者が置かれているあらゆる状況や精神状態に応じて、柔軟に対応しなければなりません。問題を抱えて苦しんでいる子どもたちが、1日も早く安心して生活できるようサポートしていきます。
②:相談に対して必要な調査、社会診断を行う
相談をうけた児童福祉司が詳しい調査を必要とした場合、家庭訪問や関係者への聞き取りを行います。
その結果をもとに、社会学、社会福祉学の知識を用いて詳しく分析し、子どもと保護者が直面している問題と原因を明らかにしていく過程が社会診断です。
③:問題を抱える子ども、保護者、関係者等に必要な支援や指導を行う
対象者が抱える問題は、カウンセリングや調査により原因が明らかになっていきます。
児童福祉司は対象者が抱える問題を解決に導くため、適切な支援や指導を提供しなければなりません。
問題の原因が生活環境にある場合は、子どもが安全な環境で成長できるように、家庭内での生活習慣や教育方法についてアドバイスを行います。
家族関係や経済的困難が原因になっている場合は、適切な福祉サービスや支援機関を紹介するため、子ども家庭支援センターや家庭裁判所などと連携をとるのも児童福祉司の仕事です。
相談を受けた時点で、子どもの命や健康に危険がおよぶ可能性がある場合、児童福祉司は一時保護の判断や、迅速に警察署、児童福祉施設などの専門機関と連携をとる必要があります。
子どもたちが安心して成長できる環境を整え、必要な支援や指導を行うのが児童福祉司の重要な役割の1つです。
④:問題を抱える子ども、保護者等の関係調整(家族療法など)を行う
児童福祉司は、家族間のコミュニケーションを改善し、対立や誤解を解消するための支援を行います。その中で必要に応じて行われる方法の1つに、家族療法があります。
家族療法は、子どもだけでなく家族全体を対象にした治療法です。全国53ヵ所(2024年現在)にある児童心理治療施設に親子で通い、医師や臨床心理士などの専門家によるカウンセリングや心理療法を受けることで、家族関係の改善に努めます。
対象は不登校や、引きこもり、DV、虐待などにより、対人関係に不安を感じている子どもとその家族です。専門家からの支援だけではなく、当事者である子どもやその家族も、問題に対して全員で協力して解決する力を身につけるのも家族療法の目的の1つです。
家族療法により対象家族の関係が改善に向かうと同時に、子どもの問題行動や心理的な困難が和らぐことも期待されます。
児童福祉司に求められる4つの適性

児童福祉司に求められる適性は主に以下の4つです。
これらの適性は、経験や学びを通して時間をかけて身につけることができます。今の自分に適性がないからと諦めず、自分のペースで習得していきましょう。
それでは詳しく解説します。
①:コミュニケーション能力がある
児童福祉司は、子どもや保護者の話をじっくりと聞き、相手の本音を引き出す能力が必要です。
しっかりと対象者の話を傾聴した上で、問題の原因やこれから先に行う支援内容をわかりやすく説明しなければなりません。児童福祉司が複雑化している家族関係や親子の気持ちを順序立てて説明することで、対象者の中で問題解決の糸口が見えてくる可能性もあります。
また、対象者への支援に当たり、関係機関や関係者との連携を円滑に進めるためにも、コミュニケーション能力が求められます。
例えば、学校や医療機関、場合によっては警察などとの情報共有や協力が必要です。
わかりやすく情報を伝えることで、対象者の状況を間違いなく他機関と共有できるため、適切な支援につなげられるでしょう。
②:共感力がある
共感力とは、他者の感情や状況を理解し寄り添う能力です。子どもや保護者の気持ちや置かれている状況を理解し、最適な支援の提供が求められます。
問題を抱えている対象者は、否定的な言葉や態度にとても敏感です。
「自分の気持ちを理解して共感してくれている」と感じると、より深い不安や悩みを共有しやすくなるでしょう。
③:問題解決能力がある
児童福祉司は、子どもや家庭の状況を的確に把握し、問題の本質を見極める力が必要です。
家庭訪問や関係者への聞き取りを通じて、詳細な情報を収集し緊急性や優先度を判断しなければなりません。
例えば、虐待の疑いがあるケースについては、即座に保護措置を講じる必要があり、適切な対応策を迅速に決定する能力が求められます。
④:責任感がある
児童福祉司は、子どもの安全を最優先に考え、必要な措置を迅速に決定する責任があります。ときには子どもの安全のために、親から引き離さなければならないこともあるでしょう。
そのようなときも、対象者に対して感情的になったり情に流されたりすることなく、子どもが安心して成長できる未来のために、常に倫理的な判断を下せる責任感の強さが求められます。
児童福祉司になるには?3つのステップを解説

児童福祉司になるためのステップは主に以下の3つです。
詳しく解説していきます。
①:児童福祉司の任用資格を満たす
児童福祉司になるには、児童福祉法第13条に定められている児童福祉司の「任用資格」が必要です。
1つは、所定の大学において心理学、教育学、社会学のいずれかの課程で単位を修得し、卒業後に厚生労働省の定める施設で1年以上の実務経験を経て、任用資格を取得する方法です。
また、社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格を取得した場合、もしくは社会福祉主事として2年以上児童福祉事業に従事した場合も任用資格を取得できます。
ここでは任用資格取得におけるルートをそれぞれ解説していきます。
②:地方公務員試験に合格する
任用資格は「その仕事に従事している時のみ効力を発揮する資格」です。したがって、任用資格要件を満たしているだけでは児童福祉司と名乗ることはできません。
児童福祉司として働くためには、任用資格を取得した後、地方公務員試験の”福祉職”または”社会福祉区分”を受験し合格する必要があります。
児童福祉司の採用率は自治体によって異なりますので、就職したい自治体のHPを確認してください。
1例として、埼玉県福祉部福祉政策課が公開している2023年度の児童福祉司の最終合格倍率は、1回目が4.3倍、2回目が12.5倍となっています。どちらの年度も合格者が採用予定人数を大幅に下回っているところから、一定の基準を満たしていない場合は不合格となるようです。
地方公務員試験は、児童福祉の専門知識のほか、一般教養や法律知識など幅広い分野が出題されるため、しっかりと準備をして望みましょう。
③:都道府県により児童相談所に配属される
“福祉職”もしくは”社会福祉区分”で地方公務員試験に合格後、都道府県から児童相談所へ配属されます。
全国には現在、児童相談所が234か所、一時保護施設が154か所設置されています。(2024年4月1日現在)就職したい自治体の児童相談所については、こども家庭庁のHPで詳しく見ることができるので、確認してみてください。
児童福祉司の任用資格取得のための2つの最短ルートを解説

児童福祉司の任用資格には、医療、福祉、教育に関わる10種類の資格のいずれかを持っている方に適用されるルートがあります。その場合は、実務経験と研修を経て任用資格を取得できます。
しかし、1から児童福祉司を目指す方にとっては、児童福祉司とは別の資格を先に取得しなければならないため、必ずしもスムーズに児童福祉司になれるルートとはいえません。
このトピックでは、これから児童福祉司を目指して1から勉強する方が、最短で児童福祉司の任用資格を取得できる2つのルートについて詳しく説明します。
それぞれ解説します。
①:大学で心理学、教育学、社会学を専攻し、指定施設で1年以上相談援助業務に従事するルート
まず1つめのルートは、大学で心理学、教育学、社会学のいずれかの課程を修了し卒業するルートです。
大学でいずれかの課程を修了し卒業後、厚生労働省が指定する施設で1年以上の相談援助業務に従事します。
厚生労働省の指定施設には以下のようなものがあります。
- 児童相談所
- 母子生活支援施設
- 児童養護施設
- 障害児入所施設
- 児童心理治療施設
- 児童自立支援施設
- 児童家庭支援センター
- その他、福祉に関する相談業務を行う施設
1年間の相談援助業務を経験すると、児童福祉司の任用資格を取得できます。その後、各自治体の児童相談所に配属され、児童福祉司として勤務できるようになります。
②:都道府県知事指定の養成校を卒業するルート
2つめのルートは、都道府県知事指定の養成校に入学して学ぶルートです。
養成校では、児童福祉司として必要な法律や制度、子どもの心理や相談援助技術を学び、豊富な実習を通して経験を積むことができます。
これらの学びを通じて、児童福祉司として必要な知識と技術を身につけ、修了をもって児童福祉司任用資格を取得できます。
東京未来大学では、通学・通信教育課程の両方で児童福祉司を目指せるカリキュラムを用意しているため、「子育てをしながら」「働きながら」といった状況でもオンラインで心理学が学習可能です。
「通信教育課程で学ぶメリット」について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
児童福祉司になるには、大学で必要な知識と技術を学ぶのがおすすめ
子どもたちの安全と福祉を守るため、悩みを抱える親子の相談に乗ったり問題解決に向けてサポートしたりするのが児童福祉司の仕事です。目に見えない悩みや不安に寄り添い、家族の生活をサポートする重要な役割を持っています。
東京未来大学こども心理学部には、「こども保育・教育専攻」と「心理専攻」があり、どちらを選択した場合も児童福祉司になるための課程がそろっています。
入学後は心理学の基礎をはじめ、学習・教育心理学、知覚・認知心理学、臨床心理学など専門領域まで深く学ぶことができ、児童福祉司を目指して学ぶためには最適な環境です。
児童福祉司に興味のある方は、ぜひ下記の東京未来大学のWEBサイトをご覧ください。

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