発達心理学とは、人の一生における心の成長や変化の過程を研究する心理学の学問分野です。

発達に応じた心の変化を研究することで、子どもだけではなく大人に対しても、より心に寄り添った適切な関わりができるようになります。

本記事では発達心理学の概要や学ぶメリット、知識を活かせる仕事、関連のある資格を解説します。

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発達心理学の研究対象と他の心理学との違い

研究内容が重なる学問分野としては、児童心理学や教育心理学があり、違いがわからず混同する人もいるのではないでしょうか。

ここでは、発達心理学の研究対象と、児童心理学や教育心理学との違いを見ていきます。

発達心理学は精神の発達を研究対象とした学問

発達心理学とは、心の成長や変化の過程といった精神の発達を研究対象とする心理学の学問分野です。

人間の人生を「子ども期」「成人期」「老年期」などの段階に分け、それぞれの発達段階に起こる心の発達や変化のメカニズムなどを研究します。

たとえば、以下のような年齢に伴う発達や、その背景にある要因を分析します。

・乳児の発語
・思春期の自己意識の高まり
・高齢期の記憶力の衰え

発達には一人ひとり個人差があるため、家庭環境や遺伝、社会の影響など多角的な視点からの理解が必要です。

また、発達の遅れや障害などに対する理解を深め、適切な支援方法を知るのも重要な学習内容です。

発達心理学で学ぶ発達段階

発達心理学は、人間の一生のうちに起こる心の成長や変化を幅広く研究する学問です。そのため、一生を各発達段階に分けて、心の発達について研究を進めます。

具体的には心の発達過程や発達を促す要因、阻害する要因などを研究します。

発達段階は年齢によって3段階に分けられます。
各発達段階における特徴は以下の通りです。

発達段階年齢発達の特徴
子ども期出生直後~思春期・歩行、会話、思考、気持ちの表現などあらゆる能力が発達する
・他者との関わり方を学ぶ
・他の発達段階に比べると個人差が大きい
成人期学生卒業後~65歳・自分らしく生きる上で仕事や家庭など重要な選択肢が迫られる
・より深い人間関係の構築やストレスに悩むなどの課題が現れる
老年期65歳~・体力や記憶力が衰え始める
・今までの経験や知識を活かして、新しい挑戦ができる時期でもある

また、高齢化が進んでいる現代では、老年期の発達心理学の研究が重要視されつつあります。

発達心理学と児童心理学は発達段階の研究対象が違う

発達心理学と児童心理学は、研究対象として扱う発達段階が異なります。

発達心理学の研究対象は、幼少期から老年期まで人間の一生の発達段階です。

一方、児童心理学は幼少期から小学校卒業くらいまでの子どもの発達段階が研究対象で、研究対象となる子どもの発達や行動、感情などを研究します。

児童心理学は発達心理学の一部として位置づけられます。

発達心理学と教育心理学は研究視点が違う

発達心理学と教育心理学の違う点は、研究の視点です。

発達心理学は心の成長や変化を遺伝や環境、家庭や社会から受ける影響などの多角的な視点から研究します。

一方、教育心理学は「教育」の視点から心理的な発達や現象を研究する学問です。

たとえば、子どもの発達に伴う心の変化に対して効果的な指導法やいじめ、不登校といった教育現場の問題を研究します。

発達心理学を学ぶ3つのメリット

発達心理学を学ぶメリットには、以下3つが挙げられます。

それぞれ解説します。

①:発達の悩みを抱える人への理解を深められる

発達心理学は発達に悩みを抱える人への理解を、より深められる学問です。

2023年の文部科学省の調査によると、通常学級で「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒数の割合が小中学校で8.8%に及ぶと推測されました。

30人クラスの場合、2~3人程度が発達に悩みを抱えている状況です。

また、発達に悩みを抱えたまま社会に出た場合、人間関係や仕事への適応といった面で悩みを抱くシーンも多くあります。

しかし、「発達に悩みを抱えている」と言っても一人ひとり悩みは異なります。

発達心理学を学ぶことで発達の悩みへの理解を深められ、発達に悩みを抱えた子どもだけではなく、社会に出ている大人に対しても個々に合わせた支援ができるようになるでしょう。

参照:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について|p.17」

②:ビジネスシーンでの人間関係改善や心理的サポートに役立つ

発達心理学の知識はビジネスシーンでも役に立つケースがあります。

たとえば、「なぜそういう行動をとるのか」「なぜそう思うのか」など心の特性を客観的に観察できるようになります。これにより、相手の対応に困惑するときでも心理的段階へ分類して捉えられ、冷静に対処できるでしょう。

また、人の悩みを心理的な問題まで深く探れるようになり、様々な方法で同僚や上司、部下などに寄り添えるようになります。

会社で落ち込んでいる人がいれば、その人の心の状態や要因を理解し、的確なアドバイスや慰めの言葉を伝えられるかもしれません。

③:臨床発達心理士の資格取得を目指すことができる

発達心理学の知識を証明できる資格に臨床発達心理士という民間資格があります。

臨床発達心理士の主な仕事は発達障害や学習障害、不登校、引きこもりなど発達に関する問題を査定し、具体的なアドバイスや指導を行い、サポートを行うことです。

資格取得により、療育施設や発達支援センター、教育現場、医療機関など様々な場で活躍できるでしょう。

資格を取得するためには、大学院修了が原則必須です。資格取得の条件や手順は後項で解説します。

発達心理学の知識を活かせる仕事

発達心理学で学んだ知識は、療育施設や教育現場、社会福祉施設など様々な場で活かせます。

具体例は以下の通りです。

①:療育施設で子どもの発達に応じた適切な支援ができる

療育施設とは発達や身体に関する悩みを抱えた18歳未満の児童が、自立した日常生活を送るためのサポートをする施設です。

たとえば、療育センターや児童発達支援事業所、放課後等デイサービスなどの施設が挙げられます。

療育施設では発達心理学で学んだ知識を活かすことで、日常生活における基本的な動作指導、生活能力向上のための訓練、集団生活への適応訓練など、発達に応じた適切な支援ができるようになるでしょう。

児童発達支援事業所や放課後等デイサービスの利用者数・事業所数が年々増加しているため、発達心理学を学んだ人材の需要が高くなると推測されます。

②:教育現場で子ども一人ひとりの特性に合わせた指導ができる

幼稚園や保育園(保育所)、小学校、中学校、高等学校、大学といった教育現場で子どもをサポートする際にも発達心理学の知識が役に立ちます。

子ども期の発達段階では得意なことや苦手なこと、1人ひとりの成長ペースは様々です。

子ども期の発達と心の変化を理解すると、発達に悩みを抱えた子どもだけではなく、子ども全員に対し特性に合わせた指導や問題解決へのアドバイスができるようになるでしょう。

③:社会福祉施設で大人の発達段階に合わせた対応ができる

老人福祉施設や介護施設、障がい者支援施設などの社会福祉施設で大人期・老年期の発達段階に合わせたサポートが可能になります。

発達心理学では子どもの発達だけではなく、大人期や老年期の発達についても学習します。
たとえば、高齢者は加齢による心身の変化から不安感や孤独感が生じるケースも珍しくありません。

発達心理学を学び高齢者が感じる不安感や孤独感などを理解することで、高齢者の気持ちに寄り添った支援が可能になります。

発達心理学に関連のある資格

発達心理学に関連のある資格は複数存在します。
ここでは、以下2つの資格を例に挙げ、資格の概要と取得方法を解説します。

発達心理学に関連のある資格

①:公認心理師

公認心理師とは発達心理学だけではなく、認知心理学や臨床心理学など心理学に関する知識を証明できる国家資格です。

資格を取得するためには、大学および大学院で心理学に関する所定の単位を履修後、公認心理師試験に合格する必要があります。

取得後には医療・保健、福祉、教育、産業など様々な分野で心の健康に関する相談やサポートなどを行います。

研修会や講演会などを開き、心の健康に関する情報を他者に提供する仕事も行います。

また、求人には「公認心理師の資格所有者」を条件としている現場も多くあります。

たとえば、医療機関で臨床心理技術者として採用される人材は、公認心理師のみに限られるケースもあります。

発達心理学の知識を活かして様々な場で活躍できるだけではなく、資格取得により「公認心理師の資格所有者」を条件としている現場でも働けるようになるでしょう。

公認心理師のなりかたについて、くわしくは以下の記事をご覧ください。

②:臨床発達心理士

臨床発達心理士は、一般社団法人 臨床発達心理士認定運営機構が認定する民間資格です。

発達的な観点から相手の悩みを理解し、的確にサポートできる発達心理学の専門的知識が求められます。

資格を取得するためには、大学院で心理学に関する所定の単位を履修後、一次審査と二次審査に合格する必要があります。

それぞれの試験内容は一次審査が書類審査と筆記試験、二次審査が口述試験です。

資格取得により、発達の悩みや学習障害、不登校、社会適応など様々な問題に対応できるようになります。

また、臨床発達心理士は豊かな日常生活の実現を目指し、幼稚園・保育園(保育所)や子育て支援センター、小学校、児童養護施設、老人ホームなど様々な場で地域に根ざしたサポートを行っているのも特徴の1つです。

子どもから大人まで幅広い世代を心的にサポートできる発達心理学を学ぼう

本記事では発達心理学の概要や学ぶメリット、発達心理学の知識を活かせる仕事について解説しました。

発達心理学の知識は、療育施設や教育現場、社会福祉施設など人に寄り添った仕事に活かすことができます。

また、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスなど発達の悩みを抱える子どもが利用する事業所数は年々増加傾向にあります。

今後発達心理学を学んだ人材を求める現場は増えていくでしょう。

東京未来大学では発達心理学をはじめ、学習・教育心理学、知覚・認知心理学、臨床心理学など幅広く心理学を学ぶ環境が整っています。

通学・通信課程の両方を用意しているため、「子育てをしながら」「働きながら」といった状況でもオンラインで心理学が学習可能です。

発達心理学に興味のある方は、ぜひ下記の東京未来大学のWEBサイトをご覧ください。

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