
今回、この問いをテーマとして挙げたのは、ここ最近、高校生の皆さんと、このテーマでお話しする機会が何回かあったからです。
高校の探究学習の授業で、このようなテーマに興味を持ち、私のところにインタビューに来られた皆さんで、様々なお話をさせていただきました。
前回のブログ(「親子関係の心理学」)では、大学生にとって「親子関係」は身近なテーマであることに触れましたが、高校生の皆さんにとっても、「親子関係」は気になるテーマであるのだな、と思います。
さて、タイトルの問いについて、どのようなお話しをしたかと言うと、
「親の子どもへの接し方は、子どもの人格の形成に影響する」とも言えるけれども、「そうでもない」とも言える、といったことをお答えしました。
結局どっち!?という答えですね。ごめんなさい。もう少し言葉を補うと、「子どもの性格は、確かに親の影響を受ける部分はあるけれども、親の関わりだけで決まるものでもない」ということです。
例えば、子どもは成長していく過程で、さまざまなことを大人から学び、周りの大人をモデルにしてさまざまな価値観を吸収していきます。特に小さい子どもの学習能力はすごいものです。言葉の使い方や、社会のルール、TPOにあわせた振る舞いなど、小さいときは主に養育の主体である親の振る舞いを見て、子どもはそれを獲得していきます。親がうっかり行儀の悪いことなどすると、すぐに真似されてしまいます。そういう意味で親の影響は大きいと言えるでしょう。
けれども、幼児期には親の影響が大きいとしても、子どもはその後、学校の先生、習い事の先生やコーチなど、さまざまな大人に出会います。その中で、親のもとで形成された価値観は修正されていきます。
特に、思春期以降は、大人だけではなく、友人、先輩などさまざまな人と関わることで、これまでの価値観は見直されていきます。その中で、親が言ったことに反発を覚えたり、正しいと思って従っていたけど、けっこう理不尽なことを言っているな、と口答えしたくなったり‥、親とぶつかることが増えてきます。これが反抗期ですね。
また、友だちの親と比べて、「うちの親は‥」と批判的になることもこの時期によくあることだと思います。親のことを批判的に見ることは、これまでの自分の価値観を振り返る作業でもあると言えます。
このように、私たちは親の影響を受けて育っていきますが、それを修正することもまた可能です。ですので、親の態度が必ずしも子どもの人格を決定づけるものでもない、といったお話をさせていただきました。
高校生の皆さんとのインタビューでは、皆さん本当にそれぞれ、自身の親との関係や、現代社会の親子の問題など考えていらっしゃって、議論が白熱しました。
こちらも大変興味深かったです。
思春期・青年期は、親子関係を始めさまざまな人間関係に悩む時期であり、発達上、それが必要な時期でもあります。ぜひ、自分自身を見つめ直すきっかけにしていただければと思います。