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親子関係の心理学

投稿日:2023年07月13日

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 タイトルに挙げた「親子関係の心理学」は、現在、私が担当している本学心理専攻の授業名です。こちらの授業では、乳幼児期から思春期・青年期まで、さまざまな年代における親子の関係性について、扱っています。

 「親子関係」は誰にとっても経験のある人間関係です。受講者の皆さんは、自身のこれまでの親子関係を振り返りながら、あるいは、これから親になることを想像しながら授業で扱う内容を理解し、参加してくれているようです。

 ところで、少し私自身の話になりますが、私の専門領域は臨床心理学になります。臨床心理学とは、心の悩みや問題の原因を明らかにし、問題への対処や援助に関する心理学になります。心の病、およびカウンセリングや心理療法などの治療理論を学ぶ学問です。これまで、カウンセラー(臨床心理士・公認心理師)として、カウンセリングの実践も行ってきました。

 子どものカウンセリングでは、ご本人への面接とともに、保護者との面接をする機会もあります。このような親子を対象とした心理面接では、本人と保護者それぞれのお話をお聞きし、カウンセリングを行っていくのですが、思春期の子どもの場合、本人と保護者の気持ちがぶつかることがよくあります。

 20代の頃、思春期の子どもと保護者のお話を聞いていると、自然と子どもの気持ちに共感することが多く、子どもの立場に立っていることが多かったように思います。しかしながら現在、自分自身が子どもの親になって年月が経つと、保護者の気持ちもよく分かります。そして、もしかしたらその分、子どもの気持ちへの共感力は下がっているかもしれません。

 カウンセリングにおいて、相手(クライエント)の気持ちに‘共感’することは大変重要です。カウンセラーが共感して聴いてくれるからこそ、クライエントは安心して自分自身の気持ちに向き合うことができるのです。とはいえ、カウンセラー自身の置かれている状況によって、相手の気持ちにどの程度共感できるのか、違いが生じてしまうことはある意味、避けられないとも言えるでしょう。それは、先ほど私自身の例でも述べたように、カウンセラー自身もさまざまな社会的な役割(親である自分、子である自分、上司、部下etc…)があるからです。ただし、専門家としてお会いするからには、そのままにしておいて良いわけではありません。では、どうするのか。自分がどのような場面で共感しやすく、どのような場面では共感しにくいのか、あるいは、どのような話で自分が感情的に揺さぶられやすいのか、そのことを自覚していることが重要と言えます。

 「親子関係の心理」は、誰にとっても身近な人間関係であるからこそ、それぞれの持つバックグラウンドによって、感じ方も変わってきます。授業では、毎回、グループでのディスカッションを行っていますが、皆さん、積極的に考え、それぞれの意見を出しあってくれています。そうしたさまざまな意見は、受講者の皆さんが自分自身の親子関係を捉えなおすよい刺激になっているようです。

こども心理学部

井梅 由美子

井梅 由美子
(IUME Yumiko)

プロフィール
専門:臨床心理学、発達臨床心理学
略歴:お茶の水女子大学生活科学部人間生活学科発達臨床学講座卒業
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得退学
相模女子大学、青山学院女子短期大学にて非常勤講師
精神科クリニック、小児科にて臨床心理士として勤務

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