「性教育」とは、どんなイメージでしょうか?
「性教育」と聞くと、思春期の体の変化、性行為、避妊、出産などが思い浮かぶかもしれません。
しかし、現在ではそれだけでなく、「包括的性教育」という考え方が広がっています。これは、人権として多様性を尊重し、すべての人が大切にされる存在であるという価値観を学ぶ教育です。
「包括的性教育」の8つのキーコンセプトは以下の通りです。
- 人間関係
- 価値観、人権、文化、セクシュアリティ
- ジェンダーの理解
- 暴力と安全確保
- 健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル
- 人間のからだと発達
- セクシュアリティと性行動
- 性と生殖に関する健康
『国際セクシュアリティ教育ガイダンス 改訂版 科学的根拠に基づいたアプローチ』明石書店 2020年
では、「乳幼児期の性教育」と聞くとまだまだ早いよ・・・と思いますか?
「乳幼児期の性教育」と聞くと、まだ早いと感じるかもしれませんが、実際には非常に重要です。国際セクシュアリティ教育ガイダンスでは、学習目標のスタート年齢を5~8歳としています。5歳は保育所やこども園、幼稚園の4歳児クラスに該当する年齢です。
私自身、保育所の看護師として働いていたとき、子どもたちに健康教育として「からだのしくみ」を伝えてきました。からだの名称、からだのしくみ、手洗いうがい、歯みがき、プライベートゾーンなど、年齢別に保健計画を立て、保育所全体で取り組んでいました。
今振り返ると、もっと効果的な方法があったのではないかと感じます。
その経験を活かし、現在では「からだのしくみとしての生教育」「いのちの誕生」「0歳からの生教育」などの研修を保育所等で行っています。
文部科学省「生命の安全教育」
保育所などの集団生活の場では、プライベートゾーンを意識した保育が求められます。個室がない環境では、洋服を着替える際に全てを脱がずに、上半身の衣類を脱いだらすぐに上を着る、下半身の衣類を脱いだらすぐに下をはくなどの工夫がされています。限られた環境をどのように整えていくかは、保育者の力量にかかっています。
子どもの年齢や発達に応じて、「生教育」として伝えることができる人材を育成することに力を入れていきたいと考えています。