このページの修正はsingle.phpで作業します

保育の仕事と社会人基礎力

投稿日:2026年10月01日

● 投稿内容に関連するキーワード

 保育者養成校の教員には、学生が実習している保育所への訪問、そして、卒業生が勤務する保育所を訪問する機会があります。訪問先では、学生が学んできたことを保育の場で発揮しようとする姿、卒業生の成長した姿に出会います。学生や卒業生を受け入れて育ててくださっている保育施設、そして、自分が今存在する場所で一生懸命に成長している学生や卒業生の姿に、いつも頼もしさや感謝を感じております。
 今日は、保育者の仕事と、社会人基礎力の関連について考えていきます。
 社会人基礎力1)は、経済産業省(2006)により、「『人生100年時代の社会人基礎力』は、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力と定義され、社会人基礎力の3つの能力/12の能力要素を内容としつつ、能力を発揮するにあたって、自己を認識してリフレクション(振り返り)しながら、目的、学び、統合のバランスを図ることが、自らキャリアを切りひらいていく上で必要と位置付けられる」とされています。
 ここでは、特に社会人基礎力の3つの能力/12の能力要素である「前に踏み出す力(アクション)」「考え抜く力(シンキング)」「チームで働く力(チームワーク)」に着目して考えてみます。
 子どもから見てよい保育を構築するため、保育者は「前に踏み出す力」を、日々用いています。保育者は、子どもの立場に立って自分の援助を振り返る中で反省したことを、次の保育にどうつなげるか考えます。その過程で、保育者が、子どもから見てよい保育にしていくためにどうしたらよいか悩み、解決策を見出せなくなることもあるでしょう。その時、保育者は必要な情報を集めて粘り強く考え、それでもうまくいかなければ、同僚に相談したり、園外研修に参加する機会を活かして外部の専門職者からの助言を求めたりすることにより、解決していきます。
 「考え抜く力」についてはどうでしょうか。保育者は、一人ひとりの子どもを観察し、子どもの発達、考えや気持ち、思い、子どもが向き合っている課題等を読み取ります。そして、読み取ったことを基に、子どもにとってよい一日が送れるような計画の立案につなげます。その際、子どもにとって大事な活動である遊びについて、保育者は、大いに考えます。例えば、子どもが十分遊びこむには、遊びが発展するには、子どもの成長につながる遊びの魅力的な紹介は・・・といった具合に考えることはたくさんあります。
 組織の中で働く保育者にとって、「チームで働く力」は不可欠です。そもそも、保育は一人で行えるものではありません。日々の生活において、担当する子どもが他のクラスの担任や友達と遊ぶこともあります。また、行事のために、いくつかのクラスが集まって活動することもあります。保育者全員が、園にいる全員の子どもを温かい目でみるからこそ、子どもは安心して園生活を送れるのです。また、園庭の環境やホールの使い方といった、園全体で話し合って解決する課題も生じます。このような時には、同僚の意見を丁寧に聞いたり、自分の意見をわかりやすく伝えたりする力が必要です。
 保育の仕事において、社会人基礎力は、学生のうちは学内外での専門的な学びや日常の約束事(挨拶、「ホウ・レン・ソウ」等)を通して、そして就職してからは日々の実践の中で、身につけられ、磨かれていくものなのです。

引用文献
1)経済産業省ホームページ 社会人基礎力 フリー素材「人生100年時代の社会人基礎力」説明資料(Powerpoint形式: 175KB)  https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/

こども心理学部

利根川 智子

利根川 智子
(TONEGAWA Tomoko)

プロフィール
専門:保育者養成、乳幼児の社会性の発達
略歴:埼玉大学教育学部幼稚園教員養成課程卒業、埼玉大学大学院教育学研究科修了、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得退学
会津大学短期大学部、東北福祉大学を経て、現職

PageTop