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保育士のやりがいについて

投稿日:2024年11月14日

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 保育者のやりがいは、子どもと関わり、子どもが成長していく姿を見ることです。
 実際、調査(保育の現場・職業の魅力向上検討会, 2020年1))では、保育士という職業のやりがいや魅力を問われた保育士が、大人とは異なる子どもの発想に触れた時に感じる感動や、子どもたちの心の動きや感情面に成長を感じること、子どもと保育者が信頼関係を結べたと感じることなどの「子どもとの関わり・成長実感」に関わる内容が一番多かったという結果が紹介されています。
 保育者は、子どもたちと日中に多くの時間を一緒に生活しながら、子どもが「これをしてみたい」や「こういうふうにしてみたらどうなるだろうか」といったワクワクする気持ちに寄り添うイメージがありますが、実際にはどうでしょうか。
 自分でいろいろと試したくなり始める時期には、自分で始めたもののうまくいかなくて自分に癇癪を起こすこともあります。また少し発達すると、「してみたい、でも、うまくいかないかもしれない、うまくいかなかったら恥ずかしい」といった気持ちをもつことにより、少し難しそうなことに対して葛藤する気持ちをもつこともあります。保育者たちは、子ども一人ひとりの性格や思い、願いを理解しながら、子どもがしたいと思っていることが可能になるように保育の環境を構成したり、援助したりします。子どもたちが「できた!」という誇らしげな、嬉しそうな表情をするとき、保育者も嬉しくなるのではないでしょうか。
 子どもたちは友達との関係づくりにおいても、最初のうちは保育者の援助により他者との関わりをもっていきます。まだ仲間入りを経験したことのない子どもは、他の子が楽しそうに遊んでいる姿を見た時、最初は黙って遊びをしている子どもの使っているおもちゃを取ろうとしたり、自分の思うような関わりをしたりするかもしれません。最初からうまくはいかないので、保育者が子どもの様子を見ながら、気持ちの橋渡しをしたり、仲介をしたりしていきます。そのような経験により、子どもは他の子どもと一緒の思いをもって遊ぶ楽しい時間を過ごして仲良くなっていったり、いざこざと仲直りを経験して友達関係を継続しようと頑張ったりする中で、徐々に自分と相手の気持ちや考えを理解して行動すること、相手とちょうど良い関係を作って維持することを覚えていきます。
 保育者は、毎日の実践の中や実践の振り返りをしながら子ども一人ひとりを理解し、さらに深い子ども理解、そしてより良い実践を目指しています。もちろん、子ども一人ひとりの記録も残していきます。そして、一定の期間書き溜めた内容を振り返り、子どもの成長を読み取っていくのです。保育者が子どもの成長に関する話をされているときには、保育者自身もとても素敵な表情をされているように感じます。
 子どもの毎日の一歩をその先へとつないでいく保育の仕事は、とても大変ですが、とてもやりがいを感じる瞬間も多くあるのではないでしょうか。

引用文献
1)保育の現場・職業の魅力向上検討会.(2020). 保育の現場・職業の魅力向上に関する報告書
 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/newpage_09174.html

こども心理学部

利根川 智子

利根川 智子
(TONEGAWA Tomoko)

プロフィール
専門:保育者養成、乳幼児の社会性の発達
略歴:埼玉大学教育学部幼稚園教員養成課程卒業、埼玉大学大学院教育学研究科修了、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程単位取得退学
会津大学短期大学部、東北福祉大学を経て、現職

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