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心がしんどいあなたへ!不安や悩みと上手につきあう心理学「ACT」って知ってる?

投稿日:2026年05月28日

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勉強や部活の人間関係、友達や進路のことなど、ストレスやプレッシャーを感じる場面は少なくないですよね。実は、思春期や青年期は心の不調が始まりやすい時期で、不安や落ち込みを抱える人が増えることがわかっています[1]。「ネガティブな気持ちを消さなきゃ!」と無理をしていませんか? そんな「心のしんどさ」を軽くするヒントになる「ACT(アクト)」というアプローチを紹介します。

ACTってなに?
ACTは「Acceptance and Commitment Therapy」の略で、「心理的柔軟性(心のやわらかさ)」を高める心理療法です[2]。ネガティブな考えを無理にポジティブに変えるのではなく、考えや感情をそのまま受け入れながら、自分が本当に大切にしたいことに向かって行動することを目指します[2]。
なぜ心はしんどくなるの?
人間は言葉を高度に使えるため、まだ起きていない未来を心配したり、過去の失敗を繰り返し思い出したりしてしまいます[3]。「自分はダメだ」という思考と自分自身が一体化する状態を、ACTでは「認知的フュージョン」と呼びます[4]。
また、嫌な感情を避けようとすればするほど、かえってその感情が強くなることもわかっています[5]。ACTではこれを「底なし沼」に例えます。もがくほど深く沈んでしまうように、感情と戦うと余計に苦しくなるのです[2]。

心をラクにする3つのヒント

1.考えと距離を置く(脱フュージョン)
「私はダメだ」と思ったら、「『私はダメだ』という考えを持っている」と言い換えてみましょう[4]。考えは「ただの頭の中のおしゃべり」にすぎません。そう気づくだけで、自分と考えを切り離して眺められるようになります。

2.感情をそのままにする(アクセプタンス)
不安を感じたら、無理に消そうとせず「今、不安を感じているな」と居場所を作ってあげましょう[2]。感情はやって来ては去っていく波のようなものです[6]。ACTではこれを「バスの運転手と乗客」にも例えます。あなたは人生というバスの運転手で、不安は「そっちに行くな!」と騒ぐ乗客。乗客と口論してバスを停めるのではなく、自分の行きたい方向へハンドルを握り続けましょう[6]。

3.大切にしたいこと(価値)に向かって動く
「自分がどんな人間でありたいか」に目を向けます[2]。たとえば「友達を大切にしたい」なら、不安があっても自分から挨拶をしてみるなど、できる範囲で行動を起こしてみましょう。

おわりに
最近ではオンラインやアプリを活用したACTプログラムも開発され、若者の不安やうつ症状を和らげる効果が研究で示されています[7]。(日本においても睡眠障害にアプリが「処方」できるようにもなりました[8])もし一人で抱え込んでしまうなら、こうしたツールや臨床心理学の専門家(公認心理師)のカウンセリングを利用するのも有効な手段です。心がしんどくなったら、ACTの考え方を少し思い出してみてください。あなたの毎日が、より豊かで意味のあるものになりますように!

参考文献

[1] Solmi, M. et al. (2022). Age at onset of mental disorders worldwide: large-scale meta-analysis of 192 epidemiological studies. Molecular Psychiatry, 27, 281–295.

[2] Hayes, S.C., Strosahl, K.D., & Wilson, K.G. (2012). Acceptance and Commitment Therapy: The Process and Practice of Mindful Change (2nd ed.). Guilford Press.

[3] Hayes, S.C., Barnes-Holmes, D., & Roche, B. (2001). Relational Frame Theory: A Post-Skinnerian Account of Human Language and Cognition. Springer.

[4] Hayes, S.C., Luoma, J.B., Bond, F.W., Masuda, A., & Lillis, J. (2006). Acceptance and Commitment Therapy: Model, processes and outcomes. Behaviour Research and Therapy, 44(1), 1–25.

[5] Hayes, S.C., Wilson, K.G., Gifford, E.V., Follette, V.M., & Strosahl, K. (1996). Experiential avoidance and behavioral disorders: A functional dimensional approach to diagnosis and treatment. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 64(6), 1152–1168.

[6] Harris, R. (2009). ACT Made Simple: An Easy-to-Read Primer on Acceptance and Commitment Therapy. New Harbinger Publications.

[7] López-Pinar, C., Lara-Merín, R., & Macías, J.H. (2024). Process of change and efficacy of ACT for anxiety and depression symptoms in adolescents: A meta-analysis of randomized controlled trials. Journal of Affective Disorders, 365, 350–363.

[8]日経メディカル. (2026). 不眠障害治療補助アプリが保険適用、2026改定で追加された「認知行動療法」とのすみ分けは. 接続日 2026/05/19 https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t359/202605/593192.html

こども心理学部

大橋 智

大橋 智
(OHASHI Tomo)

プロフィール
専門:応用行動分析
略歴:明星大学大学院人文学研究科心理学専攻(臨床心理学コース)博士前期課程修了。
立教大学現代心理学部心理学研究科博士後期課程単位取得満期退学。
教育相談室にて教育相談員を経て、明星大学心理学部実習指導員、非常勤講師、2018年4月に本学講師。
埼玉県の特別支援教育にかかわる巡回相談や幼稚園、保育園における巡回相談に従事。
臨床心理師、公認心理師。

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