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なぜ生成系AIでレポートを書いたらダメなの?

投稿日:2025年05月15日

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ChatGPTに代表される生成系AIが実用化されてから、教育の現場ではその扱いに頭を悩ませることが増えてきました。中でもレポート課題のように、自分で文章を書いて提出するタイプの課題では、生成系AIに文章を書かせてそのまま提出してしまう学生も見かけるようになっています。インターネットを検索すると、中には「先生にバレないように生成系AIを使う方法」を紹介しているようなサイトもあったりして、驚かされることもあります。
今のところ、多くの学校では、生成系AIにレポートを書かせたものをそのまま提出することは認められていません。では、なぜダメなのでしょうか。せっかくなので、その理由を生成系AIに聞いてみたところ、次のような回答が返ってきました。

「生成AIにレポートを書かせることは、自ら考える力や表現力を養う機会を失わせる。学びの過程を省略することで、知識の定着も不十分となる。また、他者の手を借りた提出は不正行為と見なされ、信用を損なう可能性がある。加えて、AIの出力には誤情報や浅い内容が含まれることも多く、学術的信頼性に欠ける。将来的にも、自分の言葉で考えを伝える力が求められるため、安易な依存は自己成長を妨げる行為といえる。」

結論から言えば、かなり的を射た回答になっていると思います。生成系AIに文章を書かせてそのまま提出することは、自分自身が学ぶチャンスを逃してしまうことになります。たとえば、誰かのレポートを丸写しして提出するのは不正行為だというのは、多くの人が感覚的に理解できると思います。それと同じように、生成系AIが出力した文章をそのまま自分のものとして提出するのも、本質的にはそれと変わりません。
一方で、生成系AIには良い面もあります。たとえば、自分が思いつかなかった視点を教えてくれたり、考えを整理するヒントをくれたりすることもあります。自分の考えを広げるための道具として使えば、学びの幅を広げてくれる存在でもあります。要は、「答えをそのまま任せる」のではなく、「自分で考えるきっかけとして使う」ことが大切なのです。
生成系AIは、自分の知りたいことや伝えたいことを、簡単に形にしてくれるとても便利な道具です。ただし、その内容が正しいかどうか、十分な情報になっているかどうかを判断するのは、最終的には人間に任されています。出力された情報をそのまま信用してしまうと、場合によっては大きな間違いを引き起こしてしまうこともあります。
実際、私自身も研究で使う自作アプリのプログラムを作成するときに、生成系AIを活用することがあります。しかし、うまく動いていたプログラムを生成系AIに修正してもらったら、なぜか正しく動かなくなり、バグが発生してしまったという経験もありました。もし気づかずにそのまま使っていたら、思わぬ問題につながっていたかもしれません。
こうした判断力は、日々の学びや経験の積み重ねの中で少しずつ育っていくものです。学校で出されるレポートなどの課題は、単に提出することが目的ではなく、学んだことを定着させたり、考える力や表現力を育てたり、自分の理解度を確かめたりするために行われています。もちろん、課題が面倒に感じたり、手間がかかると思ったりすることもあると思います。でも、そうした学びの機会を生成系AIで省略してしまうと、楽に感じる一方で、自分の中に何も残らないまま学校生活を終えてしまうことになりかねません。その結果、長い目で見れば、せっかくの学校生活を十分に活かせず、むしろタイパやコスパの悪い時間を過ごしてしまうことにもつながります。そして何より、自分が将来困る場面が増えるかもしれません。
それでもどうしても生成系AIを使ってレポートを書いてみたい、と思うなら、書かせる前にひとつだけ生成系AIに聞いてみてください。「なぜ、生成系AIに頼らず自分でレポートを書くことが大切なんだろう?」と。もしかしたら、その答えの中に、自分にとって本当に必要なことが見えてくるかもしれません。

こども心理学部

大内 善広

大内 善広
(OOUCHI Yoshihiro)

プロフィール
専門:教育心理学、教育工学、言葉指導法
略歴:早稲田大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。修士(教育学)。
早稲田大学教育学部助手、帝京学園短期大学講師、城西国際大学准教授を経て、現職。父親の子育て支援、子育てへの動機づけ、少人数教育の効果、教育へのICT活用、言葉指導法、リカレント教育などの研究に携わっている。

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