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誰一人として取り残さない未来をめざして

投稿日:2022年06月16日

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 2020年4月、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多くの大学で入学式が中止となり、授業もオンラインでの実施となりました。当時、新入生だった学生たちも早いもので3年生となり、私のゼミにも今年9名の心理専攻3年生が配属となりました。例年ならば、1年生の時から授業や校外学習、ボランティア活動などで学生たちと顔を合わせるのですが、この2年間は、感染予防のために地域交流にも慎重になり、私もなかなか一歩踏み出せずにおりました。

 新型コロナウイルスの感染が落ち着いてきた今年4月、私が会議で知り合った、大学の近くにある放課後等デイサービスからお声がけをいただきました。内容としては、「5月末に公園で課外活動をするので、ぜひ未来大の学生たちに何かやってもらえないか?」ということでした。この2年間、全く地域連携をしてこなかったので、嬉しい反面、4年生は就職活動で忙しく、3年生ともまだ信頼関係を構築できているかわからない状態だったので、私も少し不安でした。しかし、ゼミでの活動をより良いものにしたいと考え、思い切って学生たちに提案すると「ぜひやってみたい!」とのことでした。実は、彼女たちはこのコロナ禍で、放課後等デイサービスや学童クラブ、民間の遊び場施設などで、障がいの有無を問わず普段から子どもたちと関わるアルバイトをしていたのです。

 ゼミの時間に「自分たちで計画をしてみて!」と伝えると、学生たちだけで「何をしたら発達に遅れがある子どもたちに喜んでもらえるのか?」「誰がリーダーになる?」「内容はどうする?」「施設との交渉はいつが良いか?」など、どんどん話を進めていく姿に私は驚きました。教員が知らなかっただけで、学生たちは、コロナ禍でも自分で学外へ出て様々な経験を積んでいたのです。

 5月26日から31日の1週間、ゼミの学生たちは歌のお姉さんとなり、障がいのある子どもたちの前で『ぼよよん行進曲』(N H K教育番組「おかあさんといっしょ」より)の振付を説明しながら、子どもたちと一緒に踊りました。その後も、一緒にボール遊びやかけっこをして、子どもたちと交流をし、学生も私も充実したひとときとなりました。学生たちは、放課後等デイサービスのスタッフの方との交渉やゼミ生同士の交流など、今回の経験から学ぶことが多かったようです。

 その後、学生たちから「弱い立場に置かれている子どもたちについてもっと知りたい!将来、障がいや病気を抱えた子どもや虐待を受けている子どもたちの助けになるような仕事をしたいから、次は、特別支援学校や児童発達支援施設、児童養護施設などへ見学に行ってみたい!」とのこと。このチャンスを逃してはならぬとばかりに、ゼミの指導教員である私も早速さまざまな交渉をしたところ、足立区内の医療的ケア児を預かっている保育園、特別支援学校、児童養護施設などで見学をさせていただけることになりました。肢体不自由児向けのキャンプのボランティアに泊まりがけで参加することになった学生もいます。前向きな学生たちが多く、教員としてもとても嬉しいです。

 この2年間、コロナ禍によりゼミもオンライン開催でゼミ生同士の交流もままならない状況が続きましたが、今は、完全に対面授業となり、大学も学生たちの活気あふれるキャンパスになっています。誰一人として取り残さない未来をめざして、私も学生たちと共に頑張っていきたいと思います。

こども心理学部

小谷 博子

小谷 博子
(KOTANI Hiroko)

プロフィール
専門:育児工学
略歴:2000年 日本学術振興会・特別研究員(DC2) 研究先:東京大学
2001年 東京大学大学院医学系研究科 博士課程 修了
2001年 日本学術振興会・特別研究員(PD)  研究先:東京大学
2002年 東京電機大学先端工学研究所・助手
2003年 日本学術振興会・特別研究員(PD)  研究先:東京電機大学
2007年 東京電機大学先端工学研究所研究員
2008年 日本学術振興会・特別研究員(RPD) 研究先:東京電機大学
2012年 東京未来大学こども心理学部・准教授

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