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食品を選ぶ視点の授業

投稿日:2022年07月14日

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 みなさんが、「牛肉、椎茸、豆腐、ケーキ」を買うとしたら、何を考えて、どんなふうに選びますか。なぜこんな食品を買うかというと、今度の敬老の日に大好きなおじいちゃんとおばあちゃんをお祝いするために「すき焼きパーティー」をするからなのです。
 これは、昨年、共同研究で開発した高校家庭科の教材の一部です。楽しく家族のロールプレイングをしながら、食品を選ぶ視点や知識をつける内容になっています。
 みなさんも食品を購入するとき、ただ単に安いからではなく、健康や安全のために、カロリーはどのくらいかな?とか、何が入っているのかな?を気にしている人は少なくないと思います。この授業で考える視点は8つ、「食品の信頼性」、「食品に関わる資源」、「食品添加物」、「加工油脂」、「食料自給率」、「食品ロス」、「フードマイレージ」、「容器包装の素材」です。どうでしょう。考えたことはありましたか。

 この教材を使った授業は、家族のロールプレイで各役割になった生徒が、それぞれの視点を別々に詳しく学び、学んだことを家族に伝え合った後に再び食品を選び直すという展開になっています。一人ひとりが決められた視点を他の家族に説明するので、買うという行為がいかに私たちの健康だけでなく、環境に繋がっているかがよく理解できる教材です。

 例えば、買いすぎてしまうことで起こる「食品ロス」と飢餓の問題、食品の運送にかかる二酸化炭素排出「フードマイレージ」と地球温暖化の問題、容器包装が過剰である「過剰包装」とマイクロプラスティックや海洋汚染の問題、特定の食品の生産のために、児童労働や、資源乱獲が行われている問題。挙げればきりがありません。
 このようにたくさんの視点をいつもいつも意識することは難しいかもしれませんね。ただ、自分が買うものは、自分だけが関わっているのではなく、地球環境や世界の人々の命にも繋がっていることを心に留めていてほしいと思います。

 私は、家庭科教育が専門ですので、先日の大学の授業の中で、学習指導方法の1つとして、大学生にこの教材を紹介し、体験してもらいました。限られた予算設定もあるので、全てが健康に良く環境に優しいものを選択できないようになっています。が、さすが大学生!さまざまな組み合わせができました。そして、ある1つの班がこんな選択をしました。
 「ケーキ」は買いません。おじいちゃんおばあちゃんにあぶらっぽい食べ物は身体に負担がかかると思うので、他の食材に回します、と。
 環境のことを押さえながらも、誰かに気を遣える選択でした。とっても心が温まりました。このような気遣いができる学生がいる東京未来大学をちょっと自慢したくなりました。

*対話的で深い学びをつくる家庭科研究会、ロールプレイングを導入した新しい家庭科授業~知識構成型ジグソー法の教材開発~、教育図書株式会社、2021年

こども心理学部

小林 久美

小林 久美
(KOBAYASHI Kumi)

プロフィール
専門:家庭科教育
略歴:九州女子大学家政学部卒業
九州女子短期大学家政科助手
福岡教育大学大学院修士課程教育学研究科卒業
九州女子大学家政学部助手・同大学人間科学部講師
東京未来大学こども心理学部准教授をへて現職

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