先日(といっても、かなり前になりますが…)、足立区梅島で催された「くらしフェスタ」というイベントに、4年生のゼミ生とワークショップ「ぶんぶんごま製作」を出展してきました。10時から16時の間で「くらしフェスタ」というイベントに来場した子どもや大人が、それぞれ自由なタイミングでやってきて、製作を楽しんだり、自分で作ったぶんぶんごまを回して楽しんだりしました。
さて。
こういったイベントの中のワークショップのメニュー設定では、随時参加(開始時間が参加者によってばらばら)に対応するため、製作スタート時にたくさんの説明が必要なものを避けます。これは、開始時間や終了時間が特定されていないワークショップ展開の基本です。そして、完成品見本を用意して置いておいたり、遊べるものについては、それで遊ぶ姿を披露したりして、パッと見て内容が分かるようにします。これらは、参加しやすさの大事な演出です。このパッと見の様子から、「やってみようかな」という興味や「あれが作れるんだ!遊べるんだ!」という期待を参加者が持つんです。他にも、ワークショップのメニュー設定では、作業工程に、難易度調整できる部分、面白さポイントの幅広さを作ります。
今回のイベントで言えば、、、、参加する子どもの年齢の見積もりは幼児から小学校中学年くらいまでで、特に限定はありませんでした。この年齢幅の中で、メインターゲットを幼児にすると小学生には簡単過ぎて面白さが感じられないもの、小学生メインにすると幼児には難しくてできないものになってしまう可能性が否めません。こういった参加者の幅広さはイベントのワークショップではありがちなことで、「子ども」と言ってもメイン年齢を絞り切れないんです。そこで、メニュー設定では難易度が調整できて、幅広い年齢層のそれぞれが面白さを感じられるポイントを用意しておきます。
‥‥ん?!今回のワークショップの「ぶんぶんごま」って、色を塗って(絵を描いて)、紐を通して、くるくる回すだけのものでしょ?どんな難易度の調整が?!面白さポイントの幅広さを作るとは?!と思いましたね?
それはですね、、、、、、と、ここに解説を書きたいところですが、いろいろな面がたくさんあるので書ききれそうにありません。2年くらい、みっちり時間をもらえれば、詳しく解説できるのですけれど。とはいえ何も書かないのは不評を買いそうなので、ちょっとだけヒントを書いておきます。例えば、事前準備、見本、工程の細分化理解です。1つの製作や遊びについて、見えることをそのまま、見えるままに捉えないということが大事なんです。
今回のワークショップを一緒にやった4年生のゼミ生たちは、各種ポイントをばっちりと抑えていました。メニュー決めでは他の製作や遊びを試作して、それぞれの工程を整理しながら内容を絞っていきました。そうして当日は、あらゆる年齢の参加者に対応可能という状態で臨み、最終的には自身も楽しめたという満足感を得られる1日(本人たち談)となりました。彼女たちにしてみれば、「準備万端でやった~!うまくいった~!楽しかった~!めでたし、めでたし」といったところでしょう。
そんなゼミ生たちを見て、私は学生とは異なる満足感を得ています。
4年生のゼミ生たちは、ゼミ配属されてからの2年で、今回のようなワークショップを複数回、計画・実施しました。どの機会にも試行錯誤を繰り返すことを経験してきました。それぞれの試行錯誤の場面ごとで、私は「あれは?」「これは?」「それって?」「こうなら?」とヒントを散りばめて、思考の深化を計っていました。そして、ワークショップ当日には、事前想定を逸脱した状況が起きれば、その場で具体的助言をして、ゼミ生たちが最適な対応を考えて行動できるような状況を作ってきました。実習では得られないものを得てほしいという意図をもった関わり方をしてきましたが、きっとゼミ生たちは助言に促されたという自覚はないでしょう。あくまで主体的にいろいろなものを獲得していったと感じていると思います。しかし、私は、ひっそりと「うちのゼミ生たち、育った、育った!めでたし、めでたし」とニヤリです。私の意図的環境のもとで、主体性が発揮され成長したのですから。
将来、保育者を目指す人は「意図的」「環境」「主体性」「成長」という言葉に敏感になると思います。きっと、その頃には、私のニヤリとする気持ちを共感してもらえるでしょう。