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高々折り紙、されど折り紙だけど…。

投稿日:2023年11月16日

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 高々折り紙、されど折り紙ですが折り紙には歴史があります。
 折り紙は正方形のような単純なかたちの紙を折りたたんで、動物や花など様々かたちを作る遊びのひとつです。日本でいつ頃から行われていたのかについての研究も進んでいますが、まだそのルーツは明らかになっていません。主に言われているのは平安時代だといわれており、その時には「畳紙」と呼ばれる紙を使って主に化粧道具などを包むためなどに使われていたといわれています。贈り物などにそえられる品書きや鑑定書を紙に包んでつくるきまりがあったため、そのような紙を「折紙」と呼んでいたそうです。現在でも、鑑定書などによって保障されている「折紙つき」はここから来たといわれています。
 私達が保育園や幼稚園で遊んでいた折り紙は遊戯折り紙と呼ばれますが、その原点になっているのは江戸時代だといわれています。江戸時代後期に歌舞伎の演目として人気の忠臣蔵を折り紙で表現した「折形手本忠臣蔵」という本の中に遊戯折り紙の特徴である「見立て」が掲載されています。折り紙の見立てを楽しむ感性はこのころからあったといわれています。同時に折り紙は外国でも栄えていて、西欧でも発生した折り紙が明治時代の文明開化の中で日本に入ってきて本格的な遊戯折り紙が展開されるようになりました。
 遊戯折り紙をさす「折紙」という言葉が使われるようになったのは1880年ごろになってはじめて使われ、その後、折り紙は日本で盛んに発展していくようになります。そして世界語として「ORIGAMI」が使われるようになるのは1945年になってからです。1950年代になると、折り紙の基本形や折り図の表現などの基礎が築き上げられ、折り紙の創作や作品の芸術性が高まるようになります。
 1970年代になると物理学者が折り紙を数学的に研究することを始め、1980年代初期には幾何学の理論をもとに折り紙に設計図を用いた設計という考え方を取り入れて、様々な新しい折り方の技法が考案されるようになります。そして、2000年前後からはコンピュータによる設計が本格的に行われ、その流れは現代へとつながっていきます。このように、折り紙というのには歴史があり、折り紙学と呼ばれる学問が成り立っています。
 折り紙の折り方は元々手から手へと伝えられていました。ですが、広く折り方を伝えるための方法が研究され、現在は折り図記号が開発されます。谷折り、山折り、折すじをつけるといった記号もこの中で開発されていきました。折り紙と数学を関連付けることができるのは、折り方の技法や記号を読む活動が数学的活動の中に含まれるからです。もちろん、数学には計算や統計処理も含まれますが、作品の完成に向けて折り方をデザインすることもまた活動に含まれます。
 折り紙はただ作品を折ればよいという人も結構いますが、読む工程も折る工程にも意味があります。折り紙の認知心理学と呼ばれる研究が発展しているほど、折り紙で作品を作るという行為には意味があることが明らかになっています(例えば、『保育・教育に生かす Origamiの認知心理学』を参照)。折り紙というのは、園での伝承遊び実施率では99.69%と非常に知名度の高い遊びだといえます。そんな折り紙ですが、小さいときに遊んだ経験はあっても大人になって遊ぶことは減少していきます。かつては、決められたとおりに折るだけなので,創造力を育てることができない、折り方が難しい、発展性がないなどの批判が多くありました。その名残なのか、大人になると、折り紙に触れていく機会は減少しているような気がします。お隣の韓国では、折り紙はお金と時間をかけて身につける価値のある⽂化として受け入れられています。一刀切り(ひと裁ち折り)にみられるように、折り紙は言葉が通じなくてもコミュニケーションのきっかけとして交流を深めることができ、折り紙を折る過程にはある種の論理が発生するので論理的思考力の育成にも貢献します。折り紙の魅力というのは中々伝わりにくいですが、一人でも折り紙の魅力に気づいてくれる人が増えてくれたらいいなと願っています。

こども心理学部

紙本 裕一

紙本 裕一
(KAMIMOTO Yuichi)

プロフィール
専門:数学教育、教師教育
略歴:岡山理科大学理学部応用数学科卒業、広島大学大学院理学研究科中途退学
広島大学大学院教育学研究科 科学教育学専攻 数学教育学専修 修了
広島県の附属中学校、広島県の公立中、公立高の非常勤講師
梅光学院大学子ども未来学部専任講師(2017年)
東京未来大学こども心理学部専任講師(2018年4月より)

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