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あずさ2号

投稿日:2023年07月06日

4歳の息子がおります。
就寝前に、絵本を読んだり、図鑑を見たりして過ごしています。
電車の図鑑が大好きで、特急電車、地下鉄、モノレールなど様々な路線を見ながら楽しんでおります。
なかでも「特急あずさ」のページがお気に入りで、その日も読み込んでおりました。

「特急あずさ」と聞きますと、昭和世代の方々にはアノ名曲がよぎるのではないでしょうか。
1977年3月25日に発売された昭和の名曲、男性ボーカルデュオ「狩人」のデビューシングル「あずさ2号」であります。
都会での愛する人との暮らしに終止符を打ち、新しい恋人と新宿駅で特急「あずさ2号」に乗って信州へ旅立とうとするヒロインの複雑な心の内を歌った曲であります。

ある日、そんな名曲を知らない息子に「特急あずさにはお歌があるんだよ」と話をし、8時ちょうどの~♪あずさ2号で~♪私は、私は、あなたから旅立ちます~♪と一節歌いました。
そのとき息子の眼がキラリと光り、興味津々の様子。小生も久しぶりにあずさ2号を熱唱し、息子と一緒に歌いました。
2,3日たったある日、そこにはフルコーラスで「あずさ2号」を歌う息子の姿が!
強いて教えたわけでもなく、遊びで1,2回歌っただけでしたが、完璧にコピーしてしまう能力にビックリしました!!
「子どもはスポンジ」とはよく言ったもので、言動、行動、動作、ふるまい、口癖などを即座に吸収し真似る力、表現する力には羨ましさを感じます。

しかし、子どもは何でも吸収し、真似ることができるかというとそうではありません。ここで重要な観点は、真似るという行為の基となる「興味・関心」であります。この「興味・関心」は教育、学習・学びに対して、強力な要素となります。
教育という学問を探求するうえで、先人や偉人に学ぶことが多々あります。
ロック(Locke, J., 1632-1704)、ルソー(Rousseau, J.J., 1712-1778)、ペスタロッチ(Pestalozzi, J.H., 1746-1827)、フレーベル(Fröbel, F.W., 1782-1852)、デューイ(Dewey, J., 1859-1952)など、教育の礎を築いた巨星たちは、自らの教育思想、教育哲学の根底に子どもたちの「興味・関心」を挙げます。要約すれば、「教育はまず子どもの興味・関心から始めよ」ということになります。
「好きこそものの上手なれ」という諺にもあるように、強制されるわけではなく自然と興味・関心を抱くものは、楽しみ、好意へと発展し上達も早い。そこに幼児期特有のスポンジという特殊な能力ですから、「学び」という点においてはこの時期に勝るものはないでしょう。

一方で「興味・関心」にも課題があります。
「興味・関心」は皆一様ではありません。電車に興味のある子もいれば、車に興味のある子もいます。電車に興味がある子どもたちのなかでも、新幹線に興味がある子、特急電車に興味がある子、地下鉄に興味がある子、その趣味趣向は様々です。こうした一様ではない興味・関心の幅を、どのように調節するかというのが問題となります。

また実際の教育活動では「初めは楽しそうだったのに、始めてみたらそうでもなかった」とならないような配慮も重要です。さらに、興味・関心を如何に継続、維持させ、さらに向上させるかということも課題となります。つまり、ただ子どもの「興味・関心」に基づくだけで良いというわけではありません。そこには様々な教育的な配慮も求められます。
その一つとして「楽しさ」を実感できるような働きかけが挙げられます。新しい教材を用意すること、経験や体験をすることなど、「楽しさ」を引き出す方法は多々ありますが、まずは子どものそばにいて、「興味・関心」を知り、楽しさを「共有する」ということが重要ではないでしょうか。自分以外の誰かと楽しさを共有する、みんなで遊ぶから楽しい、そこに充実した「深い学び」のヒントがあるのかもしれません。

出典
Wikipedia:あずさ2号
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%9A%E3%81%952%E5%8F%B7 2023/05/31)

こども心理学部

今井 康晴

今井 康晴
(IMAI Yasuharu)

プロフィール
専門:教育学、保育学、教育方法、教育課程
略歴:明星大学人文学部心理教育学科教育学専攻卒業
広島大学大学院教育学研究科博士課程後期修了
東広島市立東西条小学校非常勤講師
武蔵野短期大学幼児教育学科専任講師
東京未来大学こども心理学部こども心理学科こども保育・教育専攻専任講師

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