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空前の抹茶ブーム

投稿日:2025年11月27日

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 私は、表千家の教授でもあります。アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコに22年滞在していた時も、茶道のお稽古を続けていました。茶道にはいろいろな日本文化が凝縮されています。建築、書、陶磁器、塗り物など様々な先人の知恵がたくさん詰まっています。また、和室という非日常の空間では、自分自身をリフレッシュすることもできる特別なひとときを過ごすことができます。
 抹茶は茶道で使用される以外にも、抹茶塩や天ぷらの衣に使われるなど、様々に利用されてきました。そして、お菓子へも利用されるようになってきました。私の出身、名古屋の名物ういろうには、抹茶味が私が小さい頃からありました。CMにも「白、黒、抹茶、小豆、コーヒー、ゆず、桜」と有名なフレーズがあります。最近では特にアメリカで、空前の抹茶ブームが起きており、いろいろなところに抹茶専門のお店が開店しています。
 日本経済新聞によりますと、2025年1月から8月の日本からの抹茶の輸出量は、アメリカがダントツで多く、2191トンで、二位のドイツの366トンを大きく上回っています。2025年8月にアメリカのサンフランシスコを訪問したときに、抹茶を取り扱っている店の人から、本物の抹茶で抹茶ラテを作ることが流行っていると聞きました。
 日本の抹茶が海外で高い評価を受けている事は、大変喜ばしいことだと思います。しかし、最近抹茶の値段が高騰しています。1.5倍から2倍位の価格になり、併せて、在庫不足になっています。お茶会やお稽古で使用する抹茶が不足しているという事態が、発生しています。抹茶の原料である「てん茶」は、栽培方法も特殊で、茶葉に覆いをして日光を遮り、うまみを凝縮させます。需要が増えたからと言って、すぐに生産量を増やすことはできません。
 抹茶は本来そのまま茶筅で点てていただくことが、1番おいしいと思います。もちろんお菓子や料理に使われることも良いことだと思いますが、まずは、抹茶本来の味を楽しむために、一度茶筅で、点てた抹茶を海外の方にもいただいてほしいと思います。そして、この機会に、ぜひ日本の皆さんにも、いろいろなところでお茶会が開かれていますので、茶室で抹茶をいただいて、日本文化の素晴らしさを体験してほしいと思います。 
 抹茶は、中国から輸入されたものですが、日本人の知恵によって改良され、室町時代に千利休が茶道を確立し、日本の文化として現在まで受け継がれています。そして、今世界に輸出されています。こうした日本人の技術力の高さも、ぜひ抹茶を飲みながら考えて欲しいと思います。
 事例として抹茶を取り上げましたが、こうしたことが異文化摩擦になります。日本人から見ると、「抹茶ラテにするなら、もったいないし、抹茶の味がわからない」というクレームになり、外国人からの視点では、「本物を味わってみたいという気持ちを理解してほしい」となり、すれ違いが起こってしまいます。こういう時こそ、日本で昔から言われている「相手の立場にたって、考えてみる」ことが必要と思います。

日本経済新聞 2025年10月27日 「抹茶、葉も機械も足りない」

モチベーション行動科学部

田中 真奈美

田中 真奈美
(TANAKA Manami)

プロフィール
専門:国際・多文化教育
略歴:University of San Francisco 教育学部修士課程教育カウンセリング専攻 修了
University of San Francisco 教育学部博士課程国際・多文化教育学専攻 修了

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