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100年後の情報通信技術を考える

投稿日:2024年04月26日

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 1964年にNew York Timesに発表されたIsaac Asimov氏の記事では、1964年に開催されたニューヨーク万博で、50年後の万博では何が展示されているのかを予測しています。間接照明、調光証明、自動調理器、冷凍食品、シンプルなロボット、自動翻訳機、小型コンピュータ、掃除ロボット、3D映画、コードレス家電製品、カーナビゲーションのようなものと自動運転、インターネット検索、電子書籍、光ファイバ通信、薄型テレビなどの出現を予測し、かなりの確率で予測が実現しています。同様に、1901年に報知新聞で発表された「二十世紀の預言」という記事では、23項目にも及ぶ予言について、科学技術白書(平成17年版)で検証され、「かなりのものが現実となっており、驚きとともに感銘深い」と述べられています。具体的には、外国との通信技術、戦地で撮影されたカラー写真を新聞社に届ける技術、7日間で世界一周旅行ができること、エアコンの発明、植物工場、ガンマイクのようなもの、テレビ電話、時速240Km以上の鉄道、台風予測、自動車社会、大学卒の一般化などが予言されていました。

 一方で、電子情報通信学会の1200号記念特集として、子どもたちが自由な発想で考える明るい未来を題材に100年後の未来を支える電子情報通信技術について展望する記事が特集されました。特集は、小中学生、高校生、20歳以下の学生を対象に「100年後の情報通信が支える未来予想図」というテーマで作文や絵画/イラストが募集されました。そのうちの幾つかを題材として技術者・研究者の方々にそれぞれの想いや将来展望を寄稿されています。

最優秀賞の作品「「あの人ともう一度話したい」を叶える魔法のチップ『テレホープ』」(高2)では、考え方の記録と人工知能が実現し、亡くなった人と通信できる未来を想像しています。大切な人をなくすという経験は、日常から大きな歯車が欠けてしまうような感覚をもたらします。もう少し言葉を交わしたかったという後悔や、人生の岐路でアドバイスをもらいたいという願いなど、人々が「またあの人と話したい」という思いを実現しようとするものです。この技術が確立されれば、故人からアドバイスがもらえるようになるでしょう。

作品の「AIの進化とグローバル化の進歩による世界統合」(高2)では、AIの進化と、リモート社会が進み、また、言語や空間の壁がなくなることを予測しています。世界統合が進み、AI主導の時代がくるかもしれないと予見していて、実現性が高く、大変興味深いと評価されています。

 優秀賞の作品「人間の頭脳と相互通信する情報端末」(高2)では、100年後の未来では、メガネのような情報通信端末で、頭脳で思い浮かぶ疑問や質問を受信し、インターネット等の検索結果を用いて人工知能(AI)が答えてくれるような技術を想像してます。例えば、仕事場や電車の中で音声機能を使ったとしたら、声を出すことで周囲の人々に迷惑をかけることになるし、自分の情報も漏れることになります。そこで、メガネ型の情報端末ならば、人間の頭脳にある質問や疑問を新しい技術で収集することができ、今よりも検索にかける時間が減り、情報が洩れる心配もなくなります。また、自分の伝えたい言葉が思い浮かばないときは、何かをイメージすることで、それらをキーワードで推薦してくれて、曖昧な考えを適切な質問に変えてくれることを想像しています。BMI(Brain Machine Interface)のようなものを使ってネット検索ができる技術や、考えたことがそのまま相手に伝わる技術が使われる時代の到来を予測していると思います。

 これらの予測やアイデアは、未来の技術や社会の進展を考える上で大変興味深い示唆を与えていると思います。

参考文献:
“20世紀の預言とは?“,
『科学技術白書 平成17年版』, 文部科学省, 2005
佐波孝彦,“100年後の情報通信が支える未来予想図“, 1200号記念特集』,
電子情報通信学会誌,2024.
辻岡哲夫,“100年後の情報通信を妄想しよう“, 1200号記念特集』,
電子情報通信学会誌,2024.

モチベーション行動科学部

杉本 雅彦

杉本 雅彦
(SUGIMOTO Masahiko)

プロフィール
専門:情報科学
略歴:信州大学大学院工学研究科博士後期課程単位取得退学 博士(工学)
長野県短期大学教養学科 助手
拓殖大学北海道短期大学経営経済科 准教授
立正大学大学院心理学研究科 非常勤講師
東京未来大学モチベーション行動科学部 教授

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