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多文化共生の観点からダイバーシティ・マネジメントを考える

投稿日:2022年04月28日

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 読者の皆さんは「ダイバーシティ・マネジメント」というと、どんなイメージを持っていますか?きっと多くの方は、性差別の撤廃や社会的弱者の保護といった側面をすぐに思い付くのではないかと思います。勿論、そうした側面もとても重要です。しかし、このブログを読んでくださっている皆さんには、もっと広い視点に立って「ダイバーシティ・マネジメント」について捉えて頂けると嬉しく思います。

 「ダイバーシティ・マネジメント」について触れる前に、先ず日本社会における構造的な人口問題を認識する必要があります。読者の皆さんもご存じのとおり、日本の人口は少子高齢化の影響により、平成20年の12,808万人をピークに、平成23年以降は一貫して減少に転じています。問題なのは、日本における出生率が長期にわたって低く、ずっと停滞をしている点です。少子化の影響は想像以上に深刻であり、平成27年の時点では、ついに75歳以上の後期高齢者の割合(12.8%)が0~14歳人口(12.5%)を上回りました。このままの推移でいけば、経済活動を担う労働人口(15歳~64歳)の層が減少し、日本経済は縮小の一途をたどってしまう危険性があります。そして、こうした傾向は、各産業分野において人手不足倒産という形で顕在化をし始めています。

 こうした状況を打開する新たな戦力として、近年「外国人労働者」の存在が注目を浴びるようになり、多くの企業が外国人の雇用を進めています。2021年10月現在、雇用されている外国人労働者の数は172万7千人を超え、雇用している事業所の数も28万5千を越えました。日本政府も2018年12月の臨時国会において、在留資格「特定技能」の新設を柱とする「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」を可決、成立させ、2019年4月より人手不足が深刻化している特定の産業分野(14分野)において「特定技能」という資格での新たな外国人人材の受け入れを可能にしました。

 コロナ禍においては、人流制限政策の一環で外国からの入国者を大きく制限しているため、まだ大きな変化はみられませんが、ポストコロナにおいては、更に多くの外国人労働者が日本国内に入ってくることが予想されます。そこで、ぜひ読者の皆さんにここで再び「ダイバーシティ・マネジメント」のあり方に立ち返って頂きたいと思います。私たちがこれから向き合わなければならないのは、外国人労働者も含めた広い視野に立った組織マネジメントです。つまり、多文化共生の観点からみた「ダイバーシティ・マネジメント」を意識することが重要であると考えます。単に労働力としての役割だけを期待するのではなく、組織に、また日本社会に良い影響となるよう彼らの活躍の場を見出すことは、組織にとっても日本社会にとっても大きなプラスになるのではないでしょうか。ぜひ皆さんの職場で働いている外国人の同僚を思い浮かべながら、一度「ダイバーシティ・マネジメント」について考えてみませんか。

参考資料)総務省統計局「国勢調査」、「人口推計」

     厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」

モチベーション行動科学部

郭 潔蓉

郭 潔蓉
(KAKU Iyo)

プロフィール
専門:東・東南アジア政治経済、多文化社会、ダイバーシティ・マネジメント
略歴:ボストン大学大学院(国際関係学専攻)修士課程 修了
筑波大学大学院(社会科学研究科)修士課程・博士課程 修了
ビジネス・ブレイクスルー大学、大東文化大学を経て現職。

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