
「梅雨寒」という言葉を知っていますか?
梅雨寒とは,梅雨の期間の雨や曇りの日に,気温が上がらずに肌寒く感じる気候を指します。
私が子どもの頃は,6月の雨の日は肌寒く,
梅雨明け後の入道雲とミンミンゼミの声でやっと夏を実感したものでした。
ところが,ここ15年ぐらいはゴールデンウィーク頃から暑さを感じるようになり,
梅雨寒から遠ざかっていたように思います。
ですが,今年は,「梅雨らしい」と思う気温に上着を着ることもしばしば。
先日,授業で「今日は梅雨寒ですね」と話したところ,
学生は,言葉そのものは知っていても,実感としてはピンと来ない様子。
ここ数年の気候の変化もあってか,「梅雨寒」をイメージしにくいのかもしれません。
私の頭の中にある梅雨は,長袖を着るか悩む季節。
学生の頭の中にある梅雨は,蒸し暑くてエアコンをつける季節。
私にとって梅雨の時期の雨は,しとしと降るもの。
学生にとっての梅雨の雨は,バケツをひっくり返したように降るもの。
だから私には「昔の梅雨に戻った」ように感じる今年の梅雨も,
学生にとっては「昔(例年)とは異なる梅雨」と思う。
私にとっては異常気象であるものが,学生にとっては普通であり,
私がこれぞ梅雨と思う季節は,学生にとっては異常なのかもしれません。
同じ「梅雨」でも,頭の中に浮かぶ風景は違うようです。
人はつい,自分を基準にして物事を考えがちですが,
自分の「ふつう」は,相手の「ふつう」ではないのです。
自分の考え方や行動が一般的なもので,
他人も自分と同じように考えたり,行動したりしていると思い込みやすい傾向を,
フォールス・コンセンサス効果(バイアス)と言います。
この授業の時の私は,そのバイアスを持ちながら学生に「今日は梅雨寒ですね」と話していたのです。
よく世代間ギャップでコミュニケーションがうまくいかないという話も聞きますが,
それぞれが自分を基準に話しているだけかもしれません。
しかし,世代差はあっても,共通の興味があれば案外その溝は埋まるものです。
息子が,最近のアイドルグループの話をしてくれるのですが,
私はどんなグループなのかわかりません。
「よくテレビで流れている音楽なのに,なんで知らないの?」と笑われます。
一方で,私が学生の頃から好きな3人組のバンドについて話しても
「ああ,年末の歌番組に出ていたオジサンたちか」で終わります。
ですが,互いに好きなジャンルの音楽なら,
「○○のCMの曲だね」「▲▲の声はかっこいいね」と息子とも話が弾みます。
生きてきた年数が違うのですから,世代間の差があるのは当然。
相手と同じ知識を持つことは難しくても,相手の世界に少し興味を持つことはできます。
しかし,残念ですが,どう頑張っても,若い人たちが好きなグループ名はなかなか覚えられません。
私の方も世代間ギャップを埋めるためにもう少し努力が必要なようです。
今年の梅雨は,学生や息子から教えてもらった音楽でも聴きながら梅雨明けを待つことにしましょう。

