21世紀に生き、開拓する21世紀型能力を中核に、研究タイトルに含まれる3つのキーワードに添って、系統的に研究開発を行った。
まず、1つは、幼児・児童における未来型能力の構造について、主として、初年度から2年度にかけて、文献、実験、調査により明らかにすることであった。できれば、人間の能力の全面的な領域について、実態を把握できることが望ましいが、現実には不可能なので、人間にとって大切な代表的な能力を選び、能力像を分析整理構造化することを試みた。
2つは、取り上げた領域に関する能力や技能の育成方法の構築提案並びに実践の成果である。3つは、それらの育成方法を指導する指導者の育成システムの開発研究および試行実践と効果評価である。研究開発の現状把握、新たな指導者育成システムの提言、構築、試行実施、そして、成果のまとめである。これらは、2年度から3年度にかけて進められた。
途中、リーダー会議、全体会議を頻繁に実施しながら相互の研究の進行を参考にそれぞれの研究班やグループで、各領域で各年度の目標達成を目指す研究が行われ、様々な知見が得られた。

今後の展望

得られた数々の成果を基盤として、今後の研究では、本研究で取り出した能力の領域が、十分に子どもの全面的発達伸長を把握する典型的な代表となっているかを確認し、改めてその育成と指導者育成を図ることが望まれる。
そのために、まず、現在の指導熟達者に対して、ヒアリング、インタビュー、訪問観察、調査を行い、実態を収集精査し、整理体系化することが必要である。そして、この基礎情報に基づいて、多くの園、学校、施設などの指導熟達者(経験豊かな教員、保育者、保護者、相談員など)へ、有効な指導活動について重要度アンケートを作成実施する。その結果を分析整理考察し、子どもの指導、躾などの成功・失敗の事例や理由、とくに成功のノウハウを体系化し、それを目標として、次世代の指導熟達者育成のための教育システムを構築する。最終的には、カリキュラムの編成、テキスト、指導ガイドの作成、教材設計、試作し、園、学校、施設、家庭などで試行実施して、形成的評価をしつつ、指導熟達者育成法モデルの確立を行う。すなわち、今後の研究では、指導熟達者の経験的な潜在知、技能の明示、可視化による人間の能力改善の一般化を目指すことが必要である。