モチベーション行動科学部への招待
第8回 目標とモチベーション(2)
(2)やさしい目標よりも高めの目標を立ててみよう
たいして努力しなくても達成できるやさしい目標では、それを達成しても充実感や喜びは刺激されません。
一方、達成が難しい高い目標の場合には、集中力を必要とし、成功に向けてさまざまな工夫を考えるなど、努力することが求められます。したがって、達成したときの喜びは大きいものです。難しい課題にチャレンジしてそれに成功したときには、いままでの努力が報われた思いが強くなり、喜びもひとしおのものがありますね。
このように、やさしい目標の場合には成功の魅力はさほど大きくはありませんが、難しい目標の場合には、努力が必要である分、目標のもつ魅力は大きくなり、達成に向けてのモチベーションも高くなります。
私たちは、具体的で難しい目標の効果を実験的に確かめたことがあります。
この実験ではまず、大学生を対象に3分間の簡単な計算課題を実施しました。つぎに、この成績をもとに、参加者たちを計算能力に差がない2つのグループにランダムに分けて、さらに10分間計算課題を解いてもらいました。
その際、一方のグループ(グループA)には「練習試行を参考にできるだけ頑張るように」という指示を与え、もう一方のグループ(グループB)には「練習試行での成績の1.5倍を目ざすように」という具体的で高めの目標を与えました。
結果を比べると、グループBの方が、グループAよりも高い成績を示し、この差は統計的にも意味のあるものでした(図)。
それぞれのグループの中には、計算能力の高い者も低い者も混じっていますが、能力の低い(目標が相対的により高くなっている)者を取り出して成績を比べると、グループBの方がグループAよりも14%近く作業量が上回っていたことも明らかになりました。
この実験からも、「具体的で高めの目標」を立てることが、モチベーションの向上には効果があることがわかります。
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